中小支援へ企業訪問強化 新事業や拡販で相談-浜松の公的3団体

2016年05月30日

中小支援へ企業訪問強化 新事業や拡販で相談-浜松の公的3団体

(静岡新聞5月28日朝刊記事=浜松総局・安本渉)

浜松地域の産業支援機関「浜松地域イノベーション推進機構」と浜松市、浜松商工会議所は2016年度から、市内の中小企業への訪問を強化し、各社のニーズに応じた経営支援に力を入れる。3団体の職員が企業に出向き、収益拡大や新事業展開に関する相談に応じる。訪問件数は年間1千件を目標に掲げる。

 企業訪問は市の委託事業で、各社の現状を聞いた上で、民間経験のあるエンジニアらで組織する「出張キャラバン隊」が支援メニューを策定し、企業の市場調査や補助金の活用、販路開拓に関してきめ細やかにサポートする。3団体と接点がない企業への「飛び込み営業」や金融機関への仲介も行う。
 機構担当者らはこのほど、浜松市中区の金型メーカー「見野金型製作所」を訪れ、新事業の概要について説明した。同社は軽量な高張力鋼板のハイテンを加工できる金型製造技術を持ち、自動車部品メーカーを中心に取引している。見野泰弘社長は「新たな事業展開に向け、補助金申請で手続きが困る点もある。いろいろと相談したい」と事業活用を期待した。
 浜松地域では大手製造業の海外移転が目立ち、取引する中小メーカーにとって技術革新や新事業への進出、販路開拓は急務。市産業部の担当者は「隠れた実力企業や、成長分野に取り組む会社を掘り起こして地域産業を底上げする」と訪問事業の狙いを説明する。
 また、補助金の活用が見込めるにもかかわらず、制度を知らない将来性のある中小企業も多いという。同機構の担当者は「受け身でなく積極的に企業にかかわり、使い勝手の良いサービスにしたい」と抱負を語った。