ヒット市場予測研究所・有力バイヤーと出会う国際見本市活用法

2015年01月22日



【1】見本市でマーケティングってなんだろう?・・・


マーケティングとは、「自社の役立つ場所をみつけること。自社の技術や製品の市場や社会でのお役立ち場所をみつけることである」。


しかしながら、多くの企業が広告、PR、販売促進という狭い意味での活動をマーケティングだと思い込んでいる。


つまり国際見本市にでよう!となると・・・

ブースにおいておくパンフレットはどうしようか?

来場者の気を引くプレミア(記念品)を何にしよう?

テレビのニュースで扱ってもらうためには、派手な衣装のコンパニオンを採用しようか?

などと、単なる人集めにかかわる企画が多い。


来場者の気の引くパンフレットを高額で制作したところで引合件数があがるだろうか?

アンケートをかけばペンをもらえるなどの記念品を配ったからと自社の技術を買うバイヤーとであえるだろうか?

テレビのニュースで広く一般に知られたところで、技術や製品の引合に直接つながるだろうか?


一般消費者が買うものならば、問い合わせはあるかもしれない。

しかし、技術やものづくりならばどうだろうか?

効果があるのだろうか?


金額をかけたところで、よっぽどのことがないと自社の技術を必要としているバイヤーを引きつける確率はとても低い。

とりわけ、技術というものは応用に汎用にイメージしにくいものである。


だからこそ、自社の技術や製品が、社会のどこに、市場のどこにお役立ち場所があるのか?をつきとめなければならない。


アンケートの記念品だろうが、かっこいいデザインのパンフレットだろうが、素敵な女性の説明員だろうが、必要としていないバイヤーにとっては雑音、ゴミ、マネキン人形でしかない。


はっきり言おう、人が群がっているブースだからといって、そのブースの技術や製品が引合が多いとは言えない場合もあるのだ。


【2】競合ひしめく中で自社が優位をもてる場なのか?


技術的に販売業態が他にないモノならばいざしらず、大半の企業が同じ業態の見本市に出品することをあまりすすめない。


なぜならば、競合ばかり中で選ぶとすれば、バイヤーの選択基準はコストや納期で選んでしまうことが多いからだ。


はじめての出展で、他社の人気ブースにて…引合の商談が話しあえている姿をみつけれることが多いのならば、何を基準に話が進んでいるのかを立ち聞きするのも営業上、悪くはない。


つまり、売り手市場、買い手市場を体感できる、同業他社との違い、マーケティングでいわれる競合他社と自社の比較を、差別化を知るにはいい機会でもある。


特にお勧めなのは、開発研究分野のスタッフに、直接商談の場で、市場が何を求めているのかを理解させるのもいいだろう。

商談の内容で、バイヤーが採用企業がないを基準に「それをほしがっているのか?」が理解できるからだ。


しかし、残念ながら競合ひしめく見本市では新規開拓を求めるバイヤーとであうことはほんとうに難しい。


【3】技術をえることにより得をする企業はどこの分野のどのバイヤー?


技術をえて、新規開拓ができる製品を開発できる企業やバイヤーにであえることが最も重要なのだ。


いまのまま、従来の業態の中の一技術企業のままならば、新規開拓はよっぽどのことがないと難しい。


実は、自社の技術とであうことで、採用するメーカーも新規開拓できるを製品を開発できなければ、自社もまた新規開拓は無理なのである。


つまり、従来のポジションのままならば、取引先も今の位置のまま。

せいぜい、コストか納期で選ばれるのみ。


新しいポジションを築こうとしたければ、新しいポジション「お役立ち場所」を探さなければ、新しい引合をえることはむずかしいのだ。


新しいポジションをつかむということが、本来のマーケティングの役割である。

つまり、どこに役立つ場所があるのか?を掴むことが市場性=マーケティング予測なのである。


そこが、掴めてこそ、活かし場所がわかってこそ、活かし場所を必要とする新しい市場=新業態をさがすことがマーケティングなのである。


国際見本市のどこに出品すれば、自社の技術が役立つ企業にであえるのか?

役立つ企業のために、「新規開拓できる製品を開発できる技術である!」と見抜けるバイヤーにであえることが肝心なのだ。


新規開拓への道が開かれるのだ。



次回は、静岡の企業で新規開拓をめざし、まずポジショニング「役立つ場所をさがす」を開始した例をお話ししたいと思います。


(有)CP−MARMA 
ブランディング戦略チーム 
コンセプター 
菓奈毎美(カナ マイミ)
現在、脚光をあびる統合型マーケティング・コミュニケーション戦略の専門家として約30年。数少ない専門家のため国内外のメーカー、テーマパーク、公共事業、国際見本市など幅広く、市場創造・新規開拓など450以上の事例もつ。19年前から東西暮し交差点・静岡県西部を日本の縮図130万人生活圏としてマーケティングモデリング調査を行う。その調査経過を「月刊流通ネットワーキング」(日本工業出版)で3年半にわたり連載し常に読者投票1位となる。特に「誰がヒットの火をつけ、どうやってヒットが拡大してゆくか」を予測した具体策、売れる経営環境づくりには定評がある。