試練をチャンスに!

2014年07月24日

                                           

 

                                     静岡経済研究所 シニアエコノミスト
                                 中嶋 壽志

今、日本のモノづくりが大変だ。平成19年に337兆円あった製造品出荷額は、平成24年には284兆円と50兆円以上も減少している。
静岡県でも同期間に、19.4兆円から15.5兆円へと約4兆円も減ってしまった。減少率で言えば静岡県は△20%で、全国の△15%を上回る。全国でも有数のモノづくり県といわれる静岡県であるが、その苦境が伺えよう。
製造品出荷額減少の最大の要因は、グローバル化にある。グローバル競争に晒され、競争力が低下したエレクトロニクス産業。テレビ、スマホ、タブレット端末など、競争力低下は目を覆いたくなる。白物家電でも、掃除機のダイソン、電気ポットのティファール、昨年のヒット商品布団専用掃除機レイコップは韓国製など、海外メーカーに侵食されつつある。自動車産業は依然国際競争力は強いが、海外現地生産化の急進展で国内生産は、減少傾向が続いている。
静岡県が今直面する苦境は、全国でも有数のモノづくり県であり、特に自動車や電機などの急激な構造変化が起こっている産業に高依存していることが原因である。しかも、その生産現場としての機能を担ってきたのが、地方経済であり静岡県でもあるのだ。つまり、静岡県には日本の地方経済が抱える問題が、先鋭的にかつ先行して現われていると考えられる。言い方を変えれば、課題先進県が静岡県でもある。それだけに、厳しい試練にさらされ
ているが、それは逆にチャンスともいえる。このチャンスをチャンスとして活かせるか否か。それこそが今、静岡県に問われている。
製造業頑張れ!