「地方創生とものづくり特別講演会」

講演1「元気印!静岡県を目指して」
静岡県信用金庫協会 会長 御室健一郎様

皆さんこんにちは。静岡県信用金庫協会の会長でございまして、浜松信用金庫の理事長の御室と申します。30分間、お付き合いいただければという風に思っております。今日は石破大臣がお見えになってらっしゃいますが、私の役割は石破大臣がこれから地方創生に対して静岡県はこうしなさい、こうすべきだというご指導をいただけますので、その前に、前座としてですね、現状こんな風になってますということを少しお話をさせていただければと思っております。大臣の前でお話するというのは初めてでございます。五年ほど前に、浜松で全国の日本商工会議所、女性会全国大会というのがありまして、そのときに展示イベントホールという会場で、3000人の女性の方を前に話をさせていただいて、そのときはちょっと緊張しましたが今日はそれに次いで二番目です。私にとっては緊張が。そういうことで、あまり皆さんに、わかりやすくお話できるかどうかわかりませんが30分間お付き合いをいただければと思っております。

今日はこういうタイトルですが、このとおりに話しするかどうかは別としてですね、まず、いま静岡県はどうなっているのかということですね。実は昨年、一昨年くらいですかね、これは県の行政の皆さん、あるいは今日は、静銀の頭取さんとか、静岡鉄道の酒井さんとか、静岡商議所会頭の後藤さんとか、地域の代表的な経済人がお見えになります。こういう方々とお話をしているときに、どうも静岡県、元気がない。たとえば、日銀の短観というのがございます。これは皆さんご存知だと思いますが、日銀の支店が30ぐらいあるんですかね、そのなかでいつも、静岡県の日銀の静岡支店のDIが全国ワースト1,2,3、この指定席なんですね。どうして静岡県は悪いんだ、と。

平成21年にリーマンショックがございましたよね。その前までの静岡県の工業出荷額というのは、大体20兆円弱、これも皆さんご存知だと思いますが、ピークで19兆6000億ぐらいでした。それがですね、リーマンショックで一気に落ち込んで、その後も、回復することなく15兆円から16兆円の工業出荷額になってしまいました。まぁ、3兆5000億から4兆円ぐらいどこかへ行ってしまったんですね。それはなぜかといいますと、海外へ行ってしまったんですね。やっぱり成長市場を求めて皆さんが海外へ工場を作る。為替の問題というよりも、成長市場へ日本はもう飽和状態だと、もう限界だと。成長戦略を求めるとすると、海外へ出ざるを得ない。こういうこともありまして、海外へ生産基地が移ってしまった。ということによって静岡県の工業出荷額も元へ戻らなくて、3兆5000億から4兆円ぐらいどこかへ消えてしまった。これはそういうことではないかと思います。

それからまた、これも皆さんご存知だと思いますが、東京とか神奈川、愛知県へ人口が流出してしまっています。流出と流入の差、これをとりますと、静岡県はワースト1,2,3,まぁ二番目くらいですかね。いつも。そういうことで、県の人口が増えない。そこへもってきて現在約370数万です、25年後ぐらいには、300万人になる。それから高齢化率も、いま25%ぐらいですか、65歳以上。これが33%~34%になる。3分の1は65歳以上になってくる。

こういう状況になっていて、元気がない、なんとかしなきゃいけない、ということで、川勝知事を中心に県の幹部の方が、我々経済界みんなでなんとかしなきゃいかんと、こういうことで立ち上げたのが静岡県産業成長戦略会議というのが始まりました。これは一昨年の終わりごろでしたかね。そういう意味では非常に静岡県は危機感があって、早く何とかしなきゃいけないと、こういうスタートを切った。

そこへ石破先生の地方創生が登場しました。東京一極集中になっていて、今東京の街は、これが日本の国かと思うぐらいに人が溢れんばかりになっていてすごいですよね。でも東京だけが勝ち組になってそれではいけない、ということで地方を何とか元気にしなきゃいかんと、こういうことが今度の石破先生を中心にやってらっしゃる地方創生のスタートになっていると、こういう理解をしておりますが、我々としては、それよりも前に、静岡県を何とかしなきゃいかんと。こんなに恵まれたところはないんです、全国に。石破先生の地元でらっしゃる鳥取県、あるいは島根県に比べれば、すばらしくいい立地ですよね。県民所得だって皆さんもご存知だと思いますが全国第三位です。お金持ちなんです。すっごいお金持ちです。そういう意味もあって逆に危機感が県民全体にない。

で、私よく言うんですが、東海道線、新幹線、東名、新東名、これの誘致の努力って我々したことありますか。ないんですよね。必ずここを通らないと東西が結びつかない。こういうことになるわけですから、非常に、地の利、気候、海の幸、山の幸、すべて恵まれていて、これが逆に言うと危機感が静岡県はちょっと薄いんではないかというふうに思っております。そこで、何とかしなきゃいけないと、こういうことになったのが静岡県産業成長戦略会議です。これによりまして、県のほうでもいろんな条例を考えてくれまして、たとえば、幹線道路沿いにある郊外ですと、本来は調整区域で先端企業の工場しかできない、ところが今は、どういう企業でもいいですよと、どんどん来てくださいとか。それから、緑地の制限がありました。これも、緩和していただいた。それから取水制限なんかも、かなり緩和していただいた。いろんなことを考えて。それから新東名も通ってますから、その近くへ工業団地を作りましょうとか。今、静岡県も攻めに転じ始めてます。ところがすぐには、なかなか成果が出ないですよね。でも、一生懸命みんなで心を合わせて、よしやろう!っていう風に思っていれば、静岡県というのはもともとポテンシャルが高いわけですから、僕は、全国指折りの、関東圏それから愛知県に伍していけるだけの土地柄になるんではないかと信じております。今日は、どうずればそんな元気になれるのかという話を、石破先生から、いただけると思いますので、ぜひご期待をいただければと思っております。

時間が30分しかないのに、シナリオにはない余分な話をしてしまいましたが、2時までですか。そうしたなかで、静岡県は、ものづくりでは全国で指折りの県です。全国では480兆円ほど工業出荷額があるんですけれども、静岡県は、そのうち15兆7600億、3.3%ぐらい、静岡県はよく3%経済といわれますが、まぁ、3.3%ぐらいです。産業構造の中で製造業のウエイトは全国平均が18%ぐらいに対して、製造業は32%ぐらいありますので、非常に高いんですね。ただ一方では、企業の成長戦略の中で海外へ、特に静岡県の中でも県西部を中心に、海外へ主力工場を持っていく動き、これがいま顕著に出ております。工場が出て行くと、雇用も移転してしまうんですね。国内の雇用の状況が、第一次産業は受け皿があまりありませんので、第二次産業から第三次産業へ変わっていくということで、そうしますと所得も、少し落ちる傾向にある。落ちますと消費も落ちる。消費も落ちると商店とか、いろんなお買い物する場所の売り上げが上がらない、こういうことによって負のスパイラルになってしまう。

今こういう状況で、雇用の問題については非常に厳しい状況になっていまして、静岡県は、かつて、特に県西部はいつも有効求人倍率が全国平均よりもかなり上回っていました。たしかにリーマンショック前は上回っていたんですが、今は、全国平均いきません。全国平均よりも下です。これは何が理由かというと、それだけ海外で人が雇用されていて、日本の雇用は少し、余り気味とは言いませんが、かなり緩やかになりすぎてしまっている、こういう状況ではないかというふうに思っております。

それから、ここに示してあるのがもう少し製造業を細かく見た規模別、これで見るとよくわかるんです。事業所数、たとえば最近5年間をとってみます。平成20年には、事業所数は12535、平成25年は10000ということで、2500ぐらい減っているんですが、この減っている理由は、小規模企業(30人以下)です。これで事業所がすごく減ってしまっています。先ほどお話したように、平成元年ぐらいにはものづくり企業が2万事業所ぐらいあったのが、いま現在は1万事業所ですと。平成25年の10008と、半分に減ってしまっている。平成元年から。で、この5年で見ても、2500、大半は小規模の4人から29人が2318ということで大半を占めています。で、やはり、競争に負けてしまっていること、それからもう一つは経営者が高齢化してしまっている。こういうことが現実として出ているわけです。たとえば従業員者数見てください。今度は、ものづくりに従事している従業員者数は、平成20年は44万6000人いました。いまは、38万6000人。5年間で6万人減っているんです。大企業300人以上の規模のところが2万5000人減っていると。これは海外へ主力工場を移転してしまっている、こういう理由だと思います。それから、製造品の出荷額、これは先ほどお話したように、約5年前リーマンショックの前ですね、約19兆2500億円ぐらいあったものが、平成25年、もうリーマンショックから5年もたっていますが、15兆6000億、このあたりにずっとなっているんですね。これは何かって言うと、やはり海外へ主力企業が移転してしまったのが原因。ここのいちばんピークだった、2兆4383億が5年間の間に大幅に減ってしまっている。国内生産から海外生産へ移ったと、こういうことです。じゃあどういう業種が減ってしまったのか、ということを見てみますと、トップは輸送用機械、これは海外生産が非常に活発になっているということで約2割。5年間の間に2割減っている。二番目が情報通信機械、これなんかもう極端ですよね。約6割が海外へ行ってしまっている。この二つが大きく減っている一番大きな理由です。今現在静岡県はこういう状況になっています。

こういう前提条件のなかで、我々はどうやってこの地域を活性化させていこうかと、これは現実を直視してやっていくしかないわけですが、たまたま私、信用金庫のトップをやっていますので、信用金庫として果たすべき役割というのを簡単にご紹介したいと思っています。これは他業態の金融機関さんでもほとんど同じですけど、まず新しい産業を作りましょうねと。これが一番大事なことですよね。攻めに転じる。でもこれがなかなかすぐには成果が出ない。ここが非常に難しいところです。中小企業の再生支援、これは景気がだいぶよくなってきましたから、どちらかというと新産業創出のほうへだいぶ力が入っている。それからビジネスマッチングですね。これはいろんな業種を結びつけるという非常に重要なことで、たとえばこれは静岡県の信用金庫の例ですね、食と農にこだわったビジネスマッチング、これは県東部の三島さんと沼津さん富士さん富士宮さんが取り組んでいらっしゃる事例ですが、こういうふうに信用金庫業界でもいろんな業種を結びつけて工業、商業、農業、それぞれの立場でどうやって頑張っていただくかとそういう刺激を与えるためにやっています。ちょっと元に戻ってください。

それから、交流人口の拡大、これも非常に重要です。2~3日前の新聞に、富士山静岡空港の売り上げ、利用者数史上最高というのが出ていました。どこへ行っても今は中国の方が来ていただいて、まぁ中国台湾ですね。すごくありがたいことなんですが、ここの受け入れ態勢をどう作っていくのか、これから重要な課題だと思っています。特に、私がいつも考えているのは、県西部は今まではものづくりで飯が食えたんです。ですからおもてなしとかそういうことに対してどうもまだノウハウがたまっていない。

先日たまたま高山の信用金庫の理事長さんにお会いしたんですが、高山の市長さんや観光関係の方々は世界中を飛び回っているんだそうです。そこの意気込みというか、まぁ高山は観光しか生きる道がないということのようですが、静岡県もだんだんものづくりだけではなくて、こういうものに対しても、しっかりやっていく必要があると思っています。宿泊者数も東海四県でいきますと名古屋がトップでその次が高山ですね。高山は年間47万人ぐらいの外国人の方が宿泊されるんです。そして三番目が浜松です。浜松が昨年年間27万人です。ただ泊まってはくれるんですが、お金を落としてくれないんです。浜松とかその周辺、御前崎のあたりとか、ホテルは満員なんだそうです。ところがお金を落としてくれないんですね。宿泊をするだけ。そこを滞在型にどうもっていくかというのがこれから我々の課せられた課題であるというふうに思っておりますが、いずれにしても海外からお見えいただいた方々をどういうふうにおもてなしして付加価値をつけていくか、これがこれからの我々の大きな地域発展の課題ではないかと思っております。

あと、企業の海外進出支援などもありますが、あとここが重要だと思います。産官学金だけじゃなくて労言まで連携ですね。後ほど石破大臣のお話でそこまでいれてみんなで協力しなさいとこういうご指導があると思いますが、ここの所ってすごく大事だと思います。いまいろんな新しいコラボレーションをやっておりまして、たとえば一つの例として医工連携、これ浜松市の話ですが、浜松医科大学と地域のIT企業が連携をしていく、こういうことですね。そのなかでデジタル喉頭ストロボ、これすごいヒット作品なんです。こういうことを官と民間がしっかりやっていくと。

それからもう一つ、農商工、とくに農業ですね。6次産業化、これもこれからの成長産業だと思っていまして、浜松商工会議所では今まで会員でなかったJAさんに今度新しく入っていただきました。浜松商工会議所は、浜松の工業出荷額が2兆円、これを代表する経済団体ですが、浜松にはJAとぴあという巨大な農協さんがございます。農業出荷額が基礎自治体としてトップは愛知県の田原市で二番目が新潟です。そして三番が浜松市。そこでこの工業と農業のコラボをうまくやっていったらどうだということで、そのはじめとして地場産品の次郎柿とかセルリーを、商工会議所とJAさんと地元企業、マツダ食品という会社ですがコラボして、新商品を作りました。食べてみるとこれ結構おいしいです。

あるいは軽トラ市というのがあります。スズキさんが軽トラック持っていますよね。キャリィですね。農業やっている方は皆さん持ってらっしゃる。その方々が自分の家でその日の朝採れた野菜を持ってきて、浜松市の中心街のメイン通りを全部交通遮断しまして、そこで50台ぐらいの軽トラへそれをずっと並べまして、こういうことやってみたんです。これに15000人ぐらいの人が来てくれまして、すごく喜んでくださるんですね。こういう地域おこしとかも面白いのかなと。もう一つは、農業者のほうからものづくり企業に対して除草できる機能がないかとか、今まで5~60万していたのが、15万とか20万とか、その程度ですぐ作ってくれる。いろんな工夫が、コラボできるものっていっぱいあるんです。

こういうことの積み重ねをわれわれは産業界としてこれからもしっかりやっていければ、本当に小さなことなんですが、本業に徹したものをしっかりやっていくと、これが僕は地域創生、町おこしではないかと思っておりまして、みんなでぜひ頑張っていければと思っております。そろそろ時間も参りましたけど、いろんな業態、自治体、大学、産官学金から労、言、そういう人たちが皆でしっかり連携して、われわれの地元は、自分たちでしっかり発展させていくんだという気持ちを持って、前へ向かって努力をしていれば、必ず努力は報われてくると、もちろん努力しないとだめですが、一生懸命皆で力を合わせて、個々の力も大事ですが、個々の力と連携とうまくかみ合わせ、組み合わせをしながらやっていけば、この地域は、静岡県は、必ずや日本の国のなかでも有数のものづくり県、住みたい県になってくるんではないかと思っております。

そういうことで結論は、自分たちでやらなきゃだめだと。もちろん、後ほど石破先生からお話をいただきますが、国のご指導をいただくとか、いろんな知恵をいただく、それから若干の予算も応援していただく。そういうことももちろん大切になりますが、やはりそれをやるのは我々なんだということをしっかり理解、自覚しながらやっていくことが、僕は、地方創生を成功させる、国益にかなう、我々の役割だというふうに思っております。そういうことで拙いお話をさせていただきましたが、これから石破大臣にご指導いただく講演をしていただくということで、宜しくお願いしたいと思います。どうも30分間お付き合いいただきましてありがとうございました。

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講演2「地方から創生する我が国の未来」
地方創生・国家戦略特別地区担当国務大臣 石破茂様

皆さま、こんにちは。ご紹介いただきました地方創生担当国務大臣の石破でございます。こういう場をお与えいただきまして誠にありがとうございます。いいお天気の日曜日に良くぞお集まりをいただきまして世の中いろんな人が居るものだなと思ったりしているところであります。

いまの御室さんのお話に尽きておるのでございますが、そうすると何のために来たのかよくわからないので1時間ほどお付き合いいただければ大変幸いであります。

我々西日本の人間にとりましては、静岡県というのは、とにかく天気はよさそうだし、暖かそうだし、新幹線も高速道路もあるし、挙句の果てには空港まで作っちゃうし、これ以上何が要るんだというところでありまして、特に日本海側の人間で我々以上の年齢になりますと強い恨みを持っておりまして、それは子供のころ天気予報で平気で「裏日本」と言われたことであります。「今日の裏日本の天気は・・・」とか言われて、なんだこれは?と思って、それ以来怨念がふつふつと、もう最近は言わなくなりましたですが。

静岡って言いますと、我々西日本とか日本海側とかまぁあまり意識がない。今でこそなくなっちゃいましたが、私が当選してずっとしばらくは夜行特急列車というものに乗って選挙区を往復しておりました。東京を夜の8時半ぐらいに出まして、鳥取に朝の7時ぐらいに着く。東京から静岡を通って京都を通って日本海側に入って、そういう特急出雲というのがあったんです。夜の8時半に東京駅を出るんですが、金曜日の夜そんな時間に東京の用事は終わらないことになっておりまして、夜10時発の最終の静岡行きのこだまに乗ると、途中熱海あたりで出雲を抜くもんですから、夜の11時半ぐらいに待っていると、出雲が来ると。便利でした。忘れもしませんが平成元年、時の総理大臣は宇野宗佑さん、そのもとで参議院選挙がありまして、自民党というと全部落ちたようなそんな選挙でした。明日は参議院選挙の告示だよっていうので、また例によって新幹線から静岡で夜行特急に乗り換えようと思ったら、その日なんだかこの近くで地震がありましてね、新幹線が遅れてしまいまして、静岡駅に着いたらもう山陰行きの特急は出たばかりだと。次の日の朝8時から第一声やるもんで、羽田まで引き返して鳥取行きの飛行機に乗ったのでは間に合わない、どうしたもんであろうかと思いまして、これは車で行くしかないと、えらいことを考えたもんです。静岡駅のタクシー乗り場に行って、鳥取まで行ってくれ!と言ったところが、タクシーの運転手さんたちが、鳥取とか行ってるよ、九州かな?いや四国だよ!いや違う、本州、とか言ってるんですね。誰も行った事がなくて。そこから行きましたですよ、タクシーで。立派な人でしたねぇ。朝6時にはちゃんと鳥取に着きました。私はそのとき知りましたです。タクシーのメーターって10万円越えるとゼロに戻るんだって。13万5000円かかりました。もう今から20何年も前のことであります。

てなことで、静岡って言うと何なんだろう、大きな県だけどのぞみ停まらないよね、新幹線の駅が6つあってのぞみが停まらない。これはなぜでしょう。岡山も広島ものぞみ停まるんですが、やっぱりのぞみが何本か停まったほうがいいなぁと思ったりいたします。で富士川超えると周波数が変わるんだそうで、どっちも「君は周波数おかしいんじゃないの?」というのが静岡県の挨拶だと、本当か嘘か存じませんがいろんなことがございます。やたらめったら車のナンバーがあってどれがどれだかよくわかりません。そんなにいろんなナンバーがあるのが楽しいのか私にはよくわかりませんが、面白い県であります。何せものづくりといったらプラモデルということでありまして、私たちの年代の子供は、静岡県というとプラモデル、ということで一番初めに名前を覚えたりしたものです。

という与太話はさておきまして、皆が意外に「あっ」というのは、国会議員でも知らない人が多いんですが、人口の減少数が、一番減っているのは北海道、まぁそれはそうなんだろうと。で、二番目が静岡だ、って言うのがこれはいったいどういうことなんだろうね、って、かなり皆意外に思います。国会の委員会なんかで人口の話になって、静岡の議員からご質問をいただくときに、何で静岡ってこんなに人口減るんでしょうねって。絶対数です、数です。一番減っているのは北海道、それはそうかもしれない。何で二番目が静岡なのかは誰にもよくわからない。

で、率で言うとこれは秋田なんです。秋田が人口減少率が一番高いです。これも何か説明がうまくつかなくて、だって秋田って一応新幹線が走ってる。東京駅行くと秋田行きっていうのが出ますから。新幹線も走ってます、空港も2つあります、高速道路も整備がかなり進みました、で秋田っていうのも面白い県で、日本海側っていうと北陸とか山陰とかいうように、なんとなくお日様が照らなくて雪がいっぱい降って、暗くって、みたいなイメージでありますが、秋田っていうのは日本海側で唯一明るい県なんです。日照時間はそんなに長いわけじゃありませんが、とにかくやたらめったら酒飲んで歌を歌ってると幸せかな、みたいなことを秋田の人から聞いたことがあります。「秋田美人」というくらいで美人の多いところです。ちなみに日本海側は、一県おきに美人がいるという話になっておりまして、誰が見ても秋田だよね、その次新潟だよね、間の山形はどうしてくれるって話になるんですが。その次の富山もどうしてくれるって話なんですけど、加賀美人だよね、その次の福井はどうしてくれるって話になるけど次は京美人だよね、みたいなことで女性もきれいであると。酒もうまいのであると。なおかつ、こんな仕事をやっているといろいろなことがわかるんですが、人口当たりのパーマ屋さんの軒数が全国第一位、平均の倍ぐらいあります。もともときれいなのに加えてパーマ屋さんの数が全国第一位で、化粧品に使う金額が全国第一位で、みたいな話であって。何でそこが人口が減るのかよくわからないねっていうのでこれは秋田県でもよくわからない。というようなことなのですが、何でこの静岡県がものすごく人口が減るのだろうというのは、静岡の謎、と言われております。どうしてこんなことになるのだろうか、と言われております。

我々がいま地方創生というふうに朝から晩まで言っておりますのは、それは統一地方選挙があったので、地方の機嫌でも取りましょうと、そういうさもしいことを考えているわけではございません。これをやらないと、たぶんこの国は持続可能性、サステナビリティを失うぞ、という強い危機感を持っております。

去年の12月に突然解散総選挙がありまして、何のための解散総選挙かとか何とかいろんな議論になりましたが、本当はこの10月に消費税を10%にするはずだったんですね。私は根っからの消費税率引き上げ論者でございまして、政治家が機嫌取りやっていると国が滅びると思っておりますので、とにかく、医療費や介護費は、これから先増え続けるのであると。どんどん増えるのであると。またわが国は、若い世代あるいは子育て世代に対する支援が、ほかの国と比べてきわめて弱いので、これから先、出生率を上げようと思えば、子育て支援をやらねばならんのであるということになる。しかしそういうようなお金は、法人税とか所得税とかみたいに、入ってくるときはどーんと入るけど、景気が悪くなると3分の1しか入ってこないような直接税には、委ねることはできない。「景気が悪くなったので医療費倍」とか、「景気が悪くなった分年金を半分」とか、そんな話に相成りませんもので、それは消費税によるしかあるまいて、ということになるわけです。今を生きるお金を次の時代の人に払わせていいという理屈はどう考えても出てきませんので、今の時代を生きる金はいまの時代で払うのが当然であるということであります。当たり前のことでございます。

世の中景気がいいとか悪いとか言いますが、金はないよりあったほうがいいが、あるだけでは仕方がないということであります。1万円というのは要するに、1万円だと思うからありがたいので、紙代と印刷代を合わせればあれは30円ですから、あれは1枚30円の紙なのです。使うから意味があるのでありまして、わたしが1万円を持って安倍商店に行って何か売ってねと、安倍商店では売れた売れたと麻生問屋に頼んでもっと仕入れるぞと、麻生問屋は菅工業に頼んでもっと作ってねと、こういうわけで、菅工業は上川工務店に頼んでもう一つ工場を建てるとか、あるいは望月製作所に頼んでもう一台機械買うとか。そういうふうに、お金は回っていってはじめて景気がいいので、あるだけでは仕方がないねと。

日本国中にある個人のお金というものの6割は60歳以上の人たちが持っている。2割は我々50代が持っている。ということは、20代30代40代はほとんど金を持っていないのです。持っていない金は使いようがないのだと。若い人たちは、実は金輪際結婚なんかしたくないと思っているわけでもなく、金輪際子どもは一人でいいと思っているわけでもなく、できれば結婚したい、できれば子どもは二人以上ほしいと、思っているんだけど、金がなければどうにもならんと。今日何かの新聞に出ていましたが、年収300万円の壁っていうのがあるんだそうです。年収300万以下だと、男性の婚姻率が9%まで下がるということなんだそうです。いいとか悪いとか言う話じゃなくて、事実としてそうなのだということです。

若い人たちは、結婚もしたい、家もほしい、子どももほしい、車もほしいと思っている。だけど金がない。80歳過ぎて普通レクサスは買わない、90歳過ぎて家は建てない、ということでありまして、20代30代にもっと資産と所得を移転しないと、この国の経済というのは抜本的によくなることはないと思っております。なんで60、70、80、90の人が外国に比べていっぱい資産を持っているんでしょうねということを考えると、アメリカは定年制がないので比較の対象になりませんが、ヨーロッパで比べますと、社会をリタイアしたときが一番お金を持っていて、いつの日か天寿満ちてあの世に召されるときはほとんど金がないのだと。日本の場合には、リタイアしたときも、天寿満つるときも、あんまり持っているお金が変わらない、という不思議な現象が起こっております。それはなぜかというと、私が学生のころに、名古屋にきんさんぎんさんという100歳を超えた双子の姉妹がおられまして、よくテレビに出て出演料をもらっておったのですが、アナウンサーが「きんさんぎんさん、出演料どうするんですか?」と聞いたらば、「貯金する」って言ってましたからね。「何のために」って聞いたら「老後の蓄え」ときたもんで、わたし学生のころひっくり返って驚いた覚えがあります。将来、医療も大丈夫、介護も大丈夫っていうことにしておかねば、どうもこれはまずかろうと。やはりこれは、いろんな意味合いがありますが、消費税という安定した財源でもって次の時代に借金を残さない、あるいは若い世代に対する資産・所得の移転をはかる、等々をやっていかなければ、この国は立ち行かないだろうと思っています。

消費税というのは景気のいいところや、お金持ちからだけ取るわけではございません。そういう性格の税金ではございませんので、北海道から九州沖縄までありとあらゆる方からいただくことになっております。全国回ってみて少し最近傾向が変わってきたなと思うんですけど、株が上がったというけれど、「株が上がって儲かった人」と聞くと大体誰も手を挙げないことになっている。東京あたりだとさすがに何人か手を挙げますが、地方に行くとあんまり手を挙げないですね。ちなみに聞いてみましょうか。株が上がって儲かった人、その辺にいらっしゃいませんか。ってな話で、株を持っているってどうしても首都圏に偏っているんです。給料上がって嬉しい人っていうと、何人か手を挙げるけど、あまり皆手を挙げない。これはかなり地域差がある。地域によってばらつきがある。よく経済指標を見てからでなければいかんのですが、どこもだいたい失業率は下がりました。有効求人倍率は上がりました。現金給与総額も上がっています。しかしながら物価の上昇率が、場所によっては現金給与総額より上を行ってたりしまして、そういうところは経済がよくなったって実感がないのは当たり前の話です。

そうすると、これから先消費税を上げるにあたっては、売り上げが伸びたね、雇用状況が改善したね、所得が上がったねっていうところが、安倍さんの言い方を借りれば、全国津々浦々に広がっていかないととてもそんなことにならないので、消費税を上げるのを延期しましょうということになりました。再来年の4月まで10%にするのを延期いたします。いやなことが先延ばしになった、よかったよかった、という話には全然なりませんで、それまでのごく短い間に冨山和彦さんの表現を借りれば、いわゆるローカル経済と言われるもの、誰でも名前を知っている大企業、主に製造業、それ以外で働く人が労働者の8割、それ以外の経済が占めるのが全体の7割、全体の7割を占めている経済の地方の経済、雇用の8割を占めているという地方の経済、こういうものがよくならないと、とても消費税なんか上げる環境になりませんね、ということがこのストーリーです。もう2年もございません。

そうすると、これから先消費税を上げるにあたっては、売り上げが伸びたね、雇用状況が改善したね、所得が上がったねっていうところが、安倍さんの言い方を借りれば、全国津々浦々に広がっていかないととてもそんなことにならないので、消費税を上げるのを延期しましょうということになりました。再来年の4月まで10%にするのを延期いたします。いやなことが先延ばしになった、よかったよかった、という話には全然なりませんで、それまでのごく短い間に、冨山和彦さんの表現を借りれば、いわゆる「ローカル経済」と言われるもの、つまり誰でも名前を知っているような大企業以外で働く人が労働者の8割、それ以外の経済が占めるのが全体の7割といわれていて、その全体の7割、雇用の8割を占めているという地方の経済、こういうものがよくならないと、とても消費税なんか上げる環境になりませんね、ということがこのストーリーです。もう2年もございません。

もう一つは、おととい出生率(合計特殊出生率)が発表になりました。9年ぶりに出生率が下がりました。これは結構えらいことでありまして、いままでずっと出生率が下がり続けていたが、最近8年は上がっていたんですね。でまた下がりました。この要因はよく分析しなければいけませんが、九州とか沖縄とかそういうところがいままで出生率を引っ張っていたんですけれど、そこの伸びが鈍くなりました。それがかなりの影響を与えているわけでございますが、「東京への一極集中を是正し、地方の人口減少に歯止めをかける」という言葉はもう何度もお聞きになったことがあると思います。これは本気でやらないと、これまた日本国の持続可能性が失われる。

直接のきっかけになりましたのは、おととしの11月、中央公論の12月号に、増田寛也さんという元総務大臣、元岩手県知事、非常に立派な方で私もよくご指導いただいているのですが、この方が発表した『消滅する地方、壊死する地方都市』、すごい題名をつけたもんだと思いますが、衰退するとか、そういう名前ではない。消滅とか壊死とか。すっごい言葉を使って、つけたのは多分中央公論だと思いますがね、それでこのままでいいのか?っていう論文を発表された。その一番新しいのが明日だか明後日だか発売の中央公論に載りますが、この研究のすごいところは、全国北海道から九州沖縄まで市町村は1718あるのでございますが、そのすべてにおいて、「2040年になると20代30代の女性の数はどれだけ減りますか」という研究でございます。今まで、「地方の人口減少大変だ、東京の一極集中は大変だ」っていうのは皆言ってたんですけど、きちんとしたデータに基づいて、このままいったら何がどうなるんだというのを具体的に示したのは、この増田論文が初めてでございます。これ『地方消滅』という名前の新書になって今本屋さんで売っていますから、ぜひお買い求めいただいてご覧になっていただきたいと思うものです。

あちこちで人口が減るわけです。全国で一番人口減少がすごいところっていうのは、我々中国地方の鳥取・島根県境とか島根・広島県境、鳥取・岡山県境、そういう中国地方の山間地の集落です。本当に集落が消えてなくなっているところがいっぱいありますから。今から何年か前、参議院選挙がありまして、私、参議院選挙のお手伝いで自民党の公認候補、町長、私、県会議員、4人ぐらいで選挙カーに乗って、ある岡山県境の集落に行ったんですね。そこの集落に車を停めて「何々集落の皆さーん、自民党公認の何の何某これから参ります、どうぞ皆さん公民館の前にお集まりください」って言ったところが、おじいさんが一人だけ来て、「石破さん、みなさんちゅうのは俺のことだ」と。「この村にはもう俺しか住んでおらんのだ」、というのは本当の話ですからね。多分その村、もうないんだと思います。

そんなことで、どんどん集落が消えてなくなっているんですが、静岡はそんなことはなかろうと思ってはいけないのですね。東伊豆町とか西伊豆町とか、そんなところへ行きますと、7割ぐらい、2040年、あとたった25年のうちで20代30代の女性の数が減るんです。そんなところは静岡にもいっぱいあるんです。10代でお子さんを産んでくださる方もいらっしゃれば40代で産んでくださる方もありますが、主に女性が子どもを産んでくださるのが20代30代だとすれば、そういう女性の方が7割いなくなる、8割いなくなる、そりゃあ無理ですよ。続かないです。それが集落から町に広がり、町から地域に広がり、このままほうっておけばどんどんと地方の人口は減ります。間違いないです。頑張って出生率を急に上げてみたところで、そのお子さんがまたお子さんを産むまで20年かかりますから、あと20年間は、お子さんを産んでくださる女性の数が減ることはもう決まっているんです。今からどうしようもないのですから。

つまりどんどん地方から人口は減りますということが起こりますね。そうすると何が起こるか。以前、昭和45年から55年あたり、1970年から80年にかけて、お手元に資料をお配りをいたしておりまして、その4ページ(資料を参照)を見ていただきたいんですけど、静岡県の人口推移というのが出ています。静岡は全国と違ったカーブを描いていますんで、これなかなか使いにくいんですけど、静岡っていうのはずっと人口が増えてきたんですね、最近減少に転じていますが。1970年ぐらいから1980年ぐらいまで、この10年間ぐらいの間に、だいたい地方と呼ばれるところは人口が増えているんです。我々山陰も、鳥取だろうが松江だろうが、その10年間は人口が増えました。新幹線といえば東海道しかなく、高速道路といえば東名、名神しかなかった時代になぜ地方で人口が増えたんだろうと考えると、それは公共投資と企業誘致、この二本柱でやってきたのです。日本国中の道路がよくなる、日本国中の下水道が整備される、日本国中港湾がよくなる。あちこちいまや広大な空き地になりましたが、昔はパナソニックがあったんだよね、東芝があったんだよね、日産があったんだよね、そういう企業誘致と、公共事業の二本柱で地方を支えてまいりました。

それから約40年近くが経過をいたしまして、「さぁ地方創生だ、夢をもう一度」ということは、できないのです。これはできないんです。つまり、これから先、しばらくは人口は減ることが決まっていると申し上げました。人口が減る中にあって、これから先公共投資を増やしていくということが可能なのであろうかと。もちろん、高速道路も鉄道も、繋がってなんぼですから、ミッシングリンクの解消はせねばならん。静岡が営々と努力を重ねてこられたように防災もやらねばならん。しかしかつてのような公共事業で地方の雇用と所得を支えることは難しい、と断ぜざるをえない。

円安になりました、輸出企業が儲かるようになりました、っていうのは、雇用が増えたわけではありません。それは浜松を見ればわかるとおりであって、確かに業績はよくなった、よくなったがそれは円が安くなったので、海外で稼いだ分を円に換算すればえらい儲かったね、という話のところが大きいのであって、円が安くなったらば輸出企業がかつての雇用と所得をもたらすわけではないというのも間違いない事実であります。

でもちろん、浜松のものづくりというのはものすごくがんばっているという話をあとで申し上げますが、かつての雇用と所得をもたらすことはきわめて難しいよねと。同じものをたくさん安く作っていくモデルは、もはや日本に向くはずがない。お客様は中国やインドにいるわけですから、お客様に近いところでものを作ったほうがいいに決まっている訳で。そしたらば、かつてと同じように公共事業と企業誘致だけで雇用と所得を維持することは難しいということであります。もちろん、全く駄目だということではありません。必要な公共事業はやります。マザー工場みたいなものは作ります。これから先自動車もそうですが、静岡で伸びるといえば飛行機でしょうから、飛行機の関連産業をどれだけ伸ばしていくか、あるいは医療の産業をどれだけ伸ばしていくかということは、静岡の大きな大きな柱になるはずです。そして農業のロボット化ですよね。あるいは漁業もそうかもしれません。どうやって省力化をしていくかというのは考えなければなりません。ですから、企業誘致も公共事業も、それはかなり目的を厳選したものにならざるを得ない。少なくとも、公共事業をやること自体が自己目的ということはありえないはずです。知事であろうが市長であろうが町長であろうが、永田町や霞ヶ関、大手町や丸の内にやってきて、道路作ってちょうだい、橋かけてちょうだい、企業来てちょうだいというだけで、これから先の地方がやっていけるとは到底思えない。

かつて製造業や公共事業には、安定した雇用と高い所得がありました。それが何にシフトしたかって言うと、医療と介護に相当シフトしています。就業構造を見ればすぐにわかります。医療と介護に従事しているんだけども、これから先、日本全体で申し上げれば、高齢者の数はこれ以上増えません。高齢者比率も上がりません。

昭和30年(1955年)から昭和45年(1970年)までのたった15年間に、この国ではものすごいことが起こりました。800万人の人が地方から大都市に移動したんです。たった15年間の間に800万人の人が地方から大都市に移って行った。そのうちの500万人は、東京に移っているわけです。たった15年間の間に。その間、若い人たちはどーんと減りました。ですから地方の過疎化とか高齢化は早く進みました。そのピークを過ぎましたので、地方では高齢化率とか、高齢者の数というのがこれ以上伸びるというのはほとんど見られなくなります。ということは何なんだっていうと、医療や介護に従事していた若い人たちの勤め場所が地方では失われるということなんです。東京は、昭和30年から45年までの人たちの高齢化がこれから先、人類史上誰も経験したことがない規模とスピードで進みますので、東京ならばまだ職場がある、東京ならば給料が高いってことで、地方から東京への大人口移動がまた起こることになります。

東京というところは、食料、エネルギー、人材を再生産しない、消費する都市ですので、東京で食料やエネルギーを作ることはほとんどできない。東京の出生率は全国最低ですから、人の再生産も行われない。つまり、エネルギーにしても食料にしても、あるいは人にしても、再生産をしない東京にもう一度集中が起こるということは、何のことはない、15年から20年の時間差を置いて、地方も東京もどんどんと衰退に向かうということなのではないか。国は、外からの脅威によって滅びることもあるが、内からのいろんな事象によって滅びることもあるのであって、今のまま行くとそれはおそらく確実に起こることであろうと。これをどうやって止めるかが、今を生きる我々の責任だというふうに認識をしているところでございます。と大演説が終わったところで、じゃあどうするんだい、ということになります

去年の12月、解散の直前に、地方創生法という法律が成立いたしました。そんなに長い法律ではないので、ぜひ関係される方は、お家へお帰りになってネットで地方創生法という法律をご覧になっていただきたいと思います。そんなに面倒くさい法律ではありませんので。この法律はいろいろ書いてあるんですけど、ポイントはたった一つなんです。全国47都道府県、全国1718市町村すべてに、来年の3月31日までに、わが市を、わが町を、わが県を、これから先5年間でこうするという、そういう計画を作ってくださいというのがこの法律のポイントです。つまり、焼津のことは焼津でないとわからない、菊川のことは菊川でないとわからない、沼津のことは沼津でないとわからない、下田のことは下田でないとわからないので、そんなことが霞ヶ関や永田町でわかると思うほうがおかしいのであって、それぞれの市を、町を、県を、あと5年間でどうするかという計画、総合戦略と申しておりますが、それを来年の3月31日までに出して下さい。というと必ず反発が出るに決まっています。そんなものはどこでもやっとるわい、どこの町でも村でも、第何次何ヵ年計画というのを作っていますと、作っていないところはない、と。確かにそうでしょう。どこも作っているでしょう。

じゃあ、駅前で市民に聞きましょうか。皆さん方のどれだけがその計画の内容をご存知ですか、どれだけの人がその計画作りに参画しましたか、そして今までの計画が達成できたかできないかご存知ですか。おそらく誰も知らない。それは市役所が、県庁が、町役場が作るものでしょう、ということでですね、ほとんどの人が参画もしていない。何が書いてあるかも知らない。できたかできないかに関心もない。

今度のはそのようなものではございません。これを作るにあたっては、いくつかのお願いをしております。主に三つです。作るにあたっては、産官学金労言と先ほど言いました。御室会長さんからも言っていただきました。月月火水木金金ではありません。産官学金労言です。産というのは商工会議所であり商工会であり商店会連合会であり、建設業協会でありJAであり、とにかく産業というものに携わっている人たちは、その計画作りに参加してください。学というのは、静岡大学であり静岡県立大学であり浜松医科大学であり、そこにおける大学、高等専門学校でも高等学校でも結構ですが、学問に携わる方は難しいお話をされるのも結構なんですけれども、その理論を計画作りに必ず反映させてくださいと。金というのはまさしく静岡銀行、スルガ銀行、静岡中央銀行、清水銀行、何しろ静岡というところは金融機関がいっぱいあるところでして、4地銀12信金といわれているそうですが、金融機関。要するに、行政からの金が切れても、それはビジネスとして存続するのかしないのか、どこと取引すればそれがさらに有効に機能するのか等々は、地銀と信金が一番よく知っている。もちろん都銀の支店が入ってもかまいませんが、金融機関がその計画作りに必ず参画してください。労っていうのは連合静岡のことです、はっきり言ってしまえば。それは選挙で応援してくれなかったとかそういうことはどうでもいいのであって、働き方変えないと、この国は変わりません。ワークライフバランスという言葉をお聞きになった方あると思いますが、たとえば子どもが生まれなくて困ったねという話なんですけど、第二子以降、第三子第四子が生まれるっていうのはいったい何に比例しているんだろうか、というのを調べたデータがあって、それはこれなんだろうなぁと私がしみじみ思っているのは、育児、炊事、洗濯、掃除、要するに男性が家事に参画する時間が長ければ長いほど、二人目三人目四人目が生まれるんですって。朝は、あの、静岡県っていろんな日本一があるんですけど、朝ごはんを食べる時間が日本で一番早いのが静岡県なんですってね。そんなに皆早く食べます?47都道府県で第一位。静岡県人が朝ごはんを食べる時間は6時58分で全国第一位。ちなみに全国平均7時10分。これ面白いですね、こないだ徳島に行ったら、徳島県民は家へ帰る時間が全国第一位って話でした、18時10分。どうやったらそんな早い時間に帰れるのかよくわからないが、色んなのがあるんですね。とにもかくにも、朝は早くに出る、夜は12時前にならないと帰ってこない、ということは「メシ風呂寝る」だけ。土曜日曜は死んだように寝ているかゴルフに行くか。それではなかなか第二子第三子第四子は生まれないんだそうです。で、女性の働き方変えるのって、男性の働き方を変えないとどうにもならないので、人のことを言えた義理ではないというのはおいておいて、そういうことになるわけですね。

半月以上前ですが、たまたま出勤前に『おはよう日本』というのを観ておったらですね、仙台にある、ある業務用冷蔵庫、冷凍庫を製造するメーカーの話が出ていて。この会社は従業員500人ぐらいの会社なのですが、10年ぐらい前は、1年に70人ぐらい社員が辞める、どんどん辞めると。それは景気も悪かったですから、もっと働けと。朝早く出て来い、夜遅くまで働け、土曜日曜も営業だ、みたいなことでどんどん人が辞めていった。そうすると当然業績が下がる。営業の人が毎回毎回変わるので、お客さまとの信用関係もだんだん悪くなる。社長は考えた。これは駄目だと。女性にはきちんと育児休業を1年取らせよう、男性も有無を言わさず育児休業取れ、と。というと我々の年代は、「何を言うんですか社長、そんなことやったらみんなに迷惑かかるじゃないですか、私は土曜も日曜も出勤します」、みたいなこというやつが必ず出るんです。皆様方の周りにもいるのかもしれませんが、馬鹿なこと言うでない、業務命令だ、取れということで、就業環境がすごく変わったら何が起こったかっていうと、辞める人が一人もいなくなりました。5年前に比べて売り上げが5割増えました。という、なんだかできすぎた話があってですね。でもこれは実際本当のことだし、どうやって職場の環境を変えていくかということを考えたときに、これは労働組合の参画なくしてできることではない。言(げん)と言ったのは、静岡放送であり静岡新聞であり、地元のメディアがこれに参画しないでいい計画ができるはずがない。静岡のどこで何が起こっているかを知っているのは静岡新聞が一番知ってるに決まっているので、どこでいったい何が起こっているか、何がいい事例で何がダメな事例で、というのをマスメディアが一番知っているはずだ。地元のテレビ、新聞、ラジオ、そういう方々が、この総合戦略を作り、5年間で何をやるかということに参画してくださいというのが、第一のお願いです。

第二のお願いは、そこにおいて、何を目標指標とするのかということをきちんと定めてくださいと。民間の方はご案内のとおりKPI(Key Performance Indicators)と申します。先ほどのグラフ(資料参照)でまいりますと、右のグラフは都道府県別の延べ宿泊者数をグラフにしたものでございます。ブルーのグラフが日本人、オレンジのグラフが外国人、ということであって、先ほど泊まってもお金を落とさなきゃダメという話がありました。その通りです。泊まらないと何にも落ちません。泊まらないと落ちるのはゴミだけです。泊まってもらっていかにして金を落とさせるかであって、これが都道府県によってこんなに差がある。静岡の場合に、人口の絶対数が減っているって話もしました。北海道についで第二位ですが、外国人の減り方は静岡は全国第一位のはずです。で、静岡の場合、日本人はいっぱい泊まるんだけど、何せ静岡の旅館の数って全国第一位ですから、旅館の数だけで言えばダントツで全国第一位、それを使ってさてさてどうやって外国人の宿泊者数を増やしますか、ということです。富士山静岡空港っていうのはまだまだ使い道はあってですね、日本の場合に、なお、羽田イン羽田アウト、成田イン成田アウト、関空イン関空アウトっていうのは多いです。どうやって富士山静岡空港イン、富士山静岡空港アウト、同じ人じゃなくてもいいんですよ、静岡空港にやってきて、あちこちの三保の松原とか浜松であるとかあるいは下田であるとか、このあたりを周って、アウトは関空から出てもいいです。アウトは、鳥取空港から出ていただいても結構ですが、要するに地方イン地方アウトの商品をちゃんと設計をしていかないと、これから先伸びる余地は限られると思っております。

あとは静岡でもそうだと思いますけど、私が国交省にお願いしているのは、何せその「爆買い」って言うんですか、不思議な言葉があってですね、とにかくもう飛行機に積める許容いっぱいの荷物を持って、何か新幹線に乗っていてもすごい荷物を持っている人がいますが、あれが中国に行って空港を出るときは手ぶらでいけるシステムを作っていかないと、これは通関にものすごい時間がかかってしょうがないんですね。ところが中国でなんでそれが発達しないのかというと、中国の場合に宅配便がちゃんと着くというのは稀なんだそうです。ホントに着くのか、みたいなことでして。そうすると日本人のお手の物で、中国とかほかの国で、ヤマトさんでも佐川さんでも何でもいいのですが、そういう宅配のビジネスをさらに発展させるということは、日本が中国に対して考えていかねばならないことですが、同時に、違うお客さん対象でいいんですが、飛行機が富士山静岡空港に飛んできて、帰りカラで帰ると全然採算取れないので、よそで降りた人がずっと周って富士山静岡空港に来る、でいっぱい乗っけてきた飛行機に乗せて帰る、というようなものをどれだけ商品設計をするか、ということがポイントだと思っております。

あるいは、これから先イスラム圏のお客様が増えますので、ハラール処理を施した料理がどれだけ静岡で出せるのか私は存じませんが、これをやっていかないとこれからイスラムの人口を取り込むことはできません。あとは、お親しい方おられると思いますが、本当の大金持ちは一般民航機で来ませんのでね。本当の大金持ちはビジネスジェットで来ますので。これをどれだけ静岡に降ろすか。

というようなことでもいいのですが、何を数値目標として設定するかです。出生率でも、あるいは外国人の泊まる日数でもいい、あるいは工業出荷額でもいい、農産物出荷額でもいい。あの、漁業も相当に改善の余地はあって、たとえば天然トラフグっていうのは全国一の水揚げは静岡沖なんですよね。ほとんどの人が山口県だと思っているけど、日本一フグが揚がるのは静岡県なんですよね。ところが、そのうちの7割は山口へ持っていきますのでね。山口で「いやぁ地元のフグはうまいな」って言うと、だいたい静岡産だったりするわけです。これ、似たような話は、辛子明太子の原料のタラコはほとんど北海道産なんですけど、そのうちの8割か9割は福岡県に売られますので、そこでもっともっと北海道のタラコってブランド化できませんかっていう、6次化ってそういうことでしてね。北海道って6次化率が全国47都道府県で47位ですから。要するにいっぱいものができるんで、加工までしなくてもいいや、販売までしなくてもいいや、ってことですが、北海道の方にはよく申し上げるんだけど、それだけ伸びしろがあるでしょ、っていうことなんですね。

で、フグの7割、フグの全国一の水揚げ量でありながら、別に山口に恨みがあるわけでもないが、何かそういうやり方ってないですかねとか、いろんな指標の設定の仕方があるわけです。このKey Performance Indicatorsに何を設定するかは、それぞれの自治体にお任せをしております。産官学金労言でやってちょうだい、Key Performance Indicatorsを設定してちょうだい、もう一つは横文字ばっかり言うなって言われるんですけど、いい日本語がないのでごめんなさい。PDCAサイクルをちゃんとまわしてくださいってことなんです。企画立案、プラン(Plan)のP、実際に実行するドゥー(Do)のD、できたかできないか点検するチェック(Check)のC、チェックに基づいて改善し行動するアクション(Action)のA、このPDCAというのが、それぞれの地域で回っているか回ってないかでありまして、なかでも問題はこのC、チェックなんですね。

できたかできないか誰も知らないというのが一番うまくなくて、この地方創生の話をしていますと、「こんな話前からしているじゃないの、昭和47年ぐらいに田中角栄内閣の日本列島改造論とか、昭和50年代に大平正芳内閣で田園都市構想、平成のはじめに竹下登内閣のふるさと創生があっただろう、何が違うんだ」と、よく言われます。「相変わらずバラマキじゃないの、自民党って変わってないね」って言われるんですけど、私が当選1回のころに竹下登先生が総理大臣で、どんな大きな町にも1億円、どんな小さな村にも1億円、バラマキの典型のように言われました。あの時に竹下総理が、まだ当選1回の私に「石破や、それは違うんだわね。これで地方の知恵と力がわかるんだわね」って言われていたのを、私は強烈に印象に残っているんですけど。「わーい1億円もらった」というので「うちの村にはキャバレーというものがないのでこの1億でキャバレー作ろう」といって本当に作った村がありましたからね。2年でつぶれたけど。で、根拠不明のお城があっちこっちに建ちましたですね。金の延べ棒買ったところもあったりして。だけども、滋賀県に長浜市ってところがありまして、あそこは町おこしでは非常に面白い市で、私も何度か行って見てきているんですが、あそこはもうとにかく石田三成が生まれたところでありまして、戦国武将たちがいろんな夢を賭けた地域であります。その1億円で、ここの武将たちが何を考え何を行動したかずっと子どもたちに教えている。今でもそれをやっている。そういう使い方をしているところもあります。

どれがいいとか悪いとか言っているわけじゃないんですが、問題は、その総合戦略なるものが、そこに設定されたKey Performance Indicatorsというものができたのかできないのかチェックをした上で新しい行動に移るという、これが今までの街づくりには決定的に欠けていたのではないかと。誰もそんなことには関心を持たなかったのではないかということでございますが、「要するに丸投げなんでしょう?」と、「国がどうもこれ以上考えられないんで、地方にお任せよ、と言っているようにしか聞こえないな」という顔をしてらっしゃる方もおられますが、この3ページ(資料参照)をご覧いただきたいんですけれども、今政府が動かしております地域経済分析システムRESAS(リーサス)と申しておりますが、これは何かと言いますと、これ一番左上は静岡の推計人口が将来どうなるかということですし、二番目は静岡の人口が年代別にどう変わるかです。その次は静岡にどんな人が転入してきたかですし、どんな人がどこへ転出していったかです。あの、お家へお帰りになってパソコンで地域経済分析システムと入力していただきますと、ばーっと日本地図が出まして、そこで静岡をクリックして、そこで浜松をクリックすると、いろんな地域のこういう図表が出てまいります。これは今まで県庁と市役所と町役場しか持っていなかったものです。行政だけが持っていたものです。これは帝国データバンクと連携いたしまして開発したシステムで、銀行だけがお金を払って持てる、手に入れている情報を除けば、ほとんどすべての地域の情報が、一般の納税者の方、一般の市民の方にもわかるようにしたのがこのリーサスシステムであります。

で、経験と勘と思い込みで計画を作るのはやめてくれと。あらゆるものはデータ、数字に基づいて計画を作ってちょうだいという話であります。ですからこれを使ってさて静岡市議会で、沼津市議会で、浜松市議会で、どこでもいいのですけれど、議員の方々がこれを使って、「市長、どうなんだ」「経済部長どうなんだ」、そういう議論が行われることが一番ありがたいと思っています。そして統一地方選挙が終わったばかりですが、県議会議員さんの、市会議員さんの、県政報告会、市政報告会で、これを使っていろんな議論がなされるようになることは極めてありがたいことだと思っております。情報面において支援をいたしてまいります。

財政面におきましても、平成26年度補正予算、あるいは平成27年度予算で相当の財政的支援を行っておりますが、来年度平成28年には、新型交付金なるものを設計して実行したいと思っております。それは今までの、決まりきった、それぞれの地域の実情に必ずしもジャストフィットしない補助金ではなく、結果平等を志向する地方交付税でもないものです。静岡市はこれをやりたいのだ、でも既存の補助金ではどうしても使い勝手がよくないのだ、地方交付税はあとから足りない分を補ってくれるので、それでは使い道が悪いのだという声があるからです。

で、もう一度4ページ(資料参照)に戻りますが、4ページの右下、東京に住んでいる人は金輪際東京から出たくないと思っているわけではない。東京に住んでいる男性の5割は、実は地方で暮らしたいと思っているのだ、50代の人は。というのがこのグラフです。女性も5割地方に行きたいと思ってくれたらいいんですが、女性は自分の家の近くでいろんなコミュニティを持っていますので、女性は3割です。ですから、「行きたきゃあなた一人で行きなさい」と言われて悲しい思いのお父さんが2割いるという話ですが、男性の5割は地方で暮らしたいと思っている、驚くなかれ10代20代の男女の47%は地方で暮らしたいと思っている。という、地方で暮らしたいと思っている人は、いるわけですね。

では地方はどうやってそれを受け入れるんだというときに、いま政府で構想を練っておりますのは、CCRCという新しいものを考えております。Cというのはコミュニティ、ケア、継続するというコンティニュー、そしてリタイアメントのR、これを使ってCCRCといっております。

今まで高齢者の方の施設というのは、要介護になってから地方に行く、あるいは行く人はサービスの受け手である、あるいは高齢者の方々はそれだけでコミュニティが完結してしまう。そうではなくて、50代のまだ若くて元気なうちから、第二の人生は生まれ故郷の静岡で暮らしたいな、伊豆で暮らしたいな、沼津で暮らしたいな、何でもいいんですけれども、まだ元気なうちから地方に行く。そしてそこではサービスの受け手なのではない。自分が会得したいろんな技術があるだろう。あるいは知識があるだろう。それをその地域でどれだけ還元するかであり、これから先地方において起こるのは、地方大学の定員割れ。そのときに50代でもう一回勉強してみたいな、とそういう方々も大勢おられるでしょう。それがコミュニティを作るということで、言うほど簡単なことじゃありませんが、冒頭申し上げましたように、これから先、東京に人が移ってきても、大医療・介護不足が起こります。東京はそういうふうに設計してありませんので。そして東京における労賃は高い。土地代は高い。

とすれば、地方である。たとえば、静岡の場合、医療の特区を創設して、そしてまたガンに対するいろんな知見があり、そしてまた農業も、省力化でいろんなロボットができていく。とするならば、第二の人生は静岡で、という選択をもししたい場合に、国が強制的にそんなことはできやしませんが、そういう望みをお持ちの方がおられたときに、それを阻害している要因を取り除くのは、私ども行政の仕事だと思っているところでございます。

たとえば静岡のある市が、このCCRCやりたいなと、だけども今の補助金ではぴったり合わない、交付税では使い道が悪いなとお思いになったときに、その新型交付金というものを使って、民間とも連携、地域を越えた連携、特に静岡県西部の場合には、長野県や愛知県との連携が盛んだと聞いております。静岡のすごいところは、他県との連携が盛んであるということと、いきなり東京を飛び越して外国に出るっていうのが静岡のすごいところで、そのいろんな地域間連携、県を越えた連携があってもいい。地域間連携と官民共同。

観光協会だってそうで、一つの小さな観光協会でできることには限界があって、富士山静岡空港を使った、この地域全体の連携を考えたときに、これはDMOという新しいシステム、これを動かしていく場合にも、新型交付金は使えると思っています。

で、「お前ね、要はだな、市町村で差をつけるつもりか」って言われます。でも本当に、産官学金労言がいっしょになって、KPIを設定して、PDCAサイクルを動かそうと思って、それで、本当に一生懸命やらないっていうところがあったらそれはそれで、そういう政治を選んだのはそこに住んでいる人ですから。その地域で住む人は、その地域が日本を引っ張るようなそういうものが必ずあるはずです。そういうものを作っていくというのは、そこに住んでいる人たちの権利であり、と同時に、このままいけばこの国は間違いなく衰退に向かうのであって、いつの時代も、中央が国を変えた試しは一度もないはずです。

国を変えるのはいつも地方が変えてきたのであって、徳川幕府の時代に、戦争もなかった、国内の治安は保たれていた。あの時に、徳川幕府が鳥取藩のために何かしてやろうと思ったことは絶対にない。私はあの時代がすべて正しかったと言うつもりもないし、近代日本のほうがはるかにいい面がたくさんあるけれど、そうであるが故に、地方では独自の経済があり、独自の文化があり、独自の学問があったはず。この静岡で、信用金庫というのが一番力があるのは、この地域に報徳思想という考え方があるからなのであって、その地域地域の独自の考え方っていうのはあの時代にできたはず。日本国中のそれぞれの地域が何をすべきなのかというのを徹底的に考えていただく。それを国は、財政面でも支援をします。どこでも同じ支援は致しません。本当に頑張ってくれたところ、日本国中周ってみれば、そんなところいっぱいあります。

決して道路がいいわけでもない、立地がいいわけでもない、島根県の隠岐の島、境港から船で2時間もかかります。飛行機なんてシーズンのいいときしか飛ばない。でもそこにある小さな高校が、もうこのままいけばこの高校は廃校だという寸前まで来たときに、この島の高校に全国から子どもたち呼ぼうじゃないかと。この小さな離島が生き残るってことは、日本国が生き残るということなのだ、この島で、どうやったらこの島が生き残るか勉強しようということで、島留学というのを始めたら、日本国中から子供が集まり、なくなる寸前だった高校は1クラスから2クラスに増えて、いま6クラスですよ。全国から子どもたちが学びにやってくる。そして岩ガキというのがブランドになる。それは、カキの冷凍なんてありえないと言われたその冷凍の技術に成功した。それを日本国中に売る。潮風で育った牧草、それを食べて育った牛。カキを作ろうよ、牛を飼おうよ、って言い出したのは、そこの島の一番大きな建設会社だった。町長は、建設業で島を支えることはこれから先ダメだと、公共事業が減ることが前提の島づくりだと言った時に、一番最初に賛同したのは、そこの建設会社の社長さんだった。「今までわが社は公共事業で食ってきた。これから先新しい産業を作って、島をもう一度甦らせるのは、わが社の使命だ」と言ったそうです。そんなところがあります。

ものづくりでもそう。この話を最後に終わりますが、島根県に大田市というところがあります。かなり気合の入った地方です。人口は2万か3万しかいません。そこに中村ブレイスっていう日本国中から子どもたちがそこで働きたいと言ってやってくる、世界中に物が売れる、その会社は何を作っているか。それは、事故で手を失った、足を失った、女性の方が病気で胸のふくらみを失った、かつてと同じものを作ろう、同じものを作ってあげる。すべてオーダーメイドです。たった一人で始めた会社です。誰も応援してくれなかった。でも足を失った人が、手を失った人が、胸のふくらみを失った人が、もう病気治ったでしょ、って言われるけど、そうではない。病気は治ったかもしれないけど、その人の人生をもう一度取り戻すんだ、ということで社長がたった一人で始めた。いまや世界中から注文が殺到し、日本中から人が働きにやってくる、そんな会社もあります。

いい話ばかりしたと言われるかもしれません。でもそんないいところが、ある。そこにあるのは常に、自信と誇りであり、驚きと感動であると思っております。ものづくりの静岡です。ヤマハのいろんなデザインがあるけれど、あそこでモーターサイクル1号機をデザインされた方が作ったものに、キッコーマンの醤油がある。醤油ビン。榮久庵(えくあん)という人が東京芸大在学中に、ヤマハのオートバイのデザインをやった。彼が作ったデザインのもう一つが今も使われている、皆さんのお家にもあるでしょう、キッコーマンの醤油ビン。これは彼がデザインをしたものだそうであります。時を越えて感動させるものは必ずある。そして子どものときから自信と誇りを。菊川で、中学校のときから、学校でたら菊川で勤めようと、そういう教育を中学生のときからやっている。政府としてこれから、地元で勤めるお子さん方には、奨学金を返さなくてもいい、そういう制度をスタートさせます。官がどうの、民がどうのではなく、皆で力を合わせて、このものづくり静岡から、新しい日本を作る。そういうような動きが、これから先、さらに強まっていきますことをお願いを申し上げ、時間の超過をお詫びしてお話を終わります。ありがとうございました。

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