ものづくり 次世代へ~豊田佐吉 生誕150年(中)

2016年02月09日

ものづくり 次世代へ~豊田佐吉 生誕150年(中))= 少年少女発明クラブ-創意工夫の心 脈々
(静岡新聞 2月5日朝刊 遠州版)
厚紙で作った箱に「のぞき窓」を開け、光の角度を変えるフィルムを取り付ける。のぞき窓から電球の光を眺めると、青、緑、黄色などの光の構成色が虹のように見えた。
 「えーっ、これ面白い」。分光器を作る講座に集まった小学生45人は、さまざまな光に分光器を向けて面白がった。講座は湖西少年少女発明クラブ(事務局・湖西市教育委員会)が浜松市の光産業創成大学院大から准教授を招いて開催した。
 同クラブではこのような行事を月1、2回実施。元教員や製造企業OBら24人がボランティアで指導員を担う。豊田佐吉が後世に伝えようとした、ものづくりの精神や発明の面白さを教えている。
 「今の子はナイフで鉛筆を削ったり、本棚を作ったりする工作の経験が少ない。ものづくりを通じて何度も失敗を重ね、創意工夫する経験をさせたい」。同クラブ会長を務めるスポーツ用品製造「羽立工業」の中村哲也社長(58)は強調する。失敗しても諦めない「たくましさ」が今の子どもに必要と説く。
 クラブは1976年に設立し、今年8月で40周年を迎える。創設したのはクラブより1年早く発足した湖西青年会議所(現浜名湖青年会議所)だった。「佐吉翁に学ぼう」という目的は、39歳以下でつくる同会議所の設立趣意そのものだった。
 「小さいころから自分の頭で考えるという佐吉の創造の精神を受け継いだ地元の皆さまに感謝したい」。昨秋、市内で開かれた顕彰祭で、佐吉の孫に当たる豊田章一郎トヨタ自動車名誉会長はクラブの継続に謝辞を述べた。
 欧米の先進技術に追いつき、追い越そうと努力した佐吉は「障子を開けてみよ 外は広いぞ」との言葉を残した。創意工夫の心があれば、今日の技術もまだまだ改良できることを後世に伝えている。