ヒット市場予測研究所・有力バイヤーと出会う国際見本市活用法

2014年12月19日


●引合がだせる有力バイヤーにであうための国際見本市活用法:その1


「展示会っていうと、協会や業態組合のおつきあいで仕方なく1小間出展しているだけで…。正直、効果もないし総務の人間がくじ引きで待機しているだけなんです。」とおっしゃる企業は決して少なくない。


かたや…
「ありがとうございます。これで社員400人が3年生きてゆけるだけの引合が、商談が成立しました!」
日本の国際収支の数字を動かすような国際見本市の最終日に、出展企業から感謝の言葉を聞くと、苦労して世界中から有力バイヤーを誘致する仕掛けをつくってきた身としてはうれしい限りだった。

この差はどこからくるのだろうか?

地方のコンベンションセンターで数万円の小間料金で出展する場合と、何十万円もする小間料金に有力バイヤーを立ち止まらせる魅力あるブース演出に同等のそれ以上の予算をかける国際見本市に出展する場合とは、どこがちがうのだろうか?

もちろん、それだけの金額をかけるのだから当たり前だと思うだろうか?

たった1小間、業界のおつきあいで出展していた企業が考えを変えてみた。去年と同じ1小間出展だが専門家の指導で最大限に活用してみたら・・・去年2件だった引合が、なんと8件に!!8件だけ??・・・おどろくなかれ450億円も稼ぎだしたのだ!


例年、業界のおつきあいで1小間だけ出展していた。引合いも2件あったが、何度か脚を運んでやっと正式な商談が成立した。引合い額も小額であった。
しかし、今回、指導をうけて最大限に活用し・・8件の引合があったが、すべてブース内で仮商談が成立したのだ。

そのため、ブース担当者どころか、最終日には社長、会長まで展示会ブースに訪問して、スタッフ一同で万歳!したのだ。会社始まって以来の快挙まで言われたのだ。

この企業は、海底の光ファイバー電線のメーカーのため1つの引合が大きい。2年分の売り上げに匹敵するような引合を生むことになった。たった一小間のブースである。

当時、日本を代表するエレクトロニクスメーカーが1小間何十万円のブースを80小間つかい、何千万円もブース演出に費用をかけても・・・一年間営業マンが汗水たらして売り上げに奮闘する売り上げの2倍!!国際見本市での引合いが年間売り上げの2/3、たった開催期間中の3日間で売り上げてしまうのだ。

多くの費用をかけても、国際見本市への出展は企業の明暗をわけるのだ。
たった1小間で450億円の引合いをだすことも可能なのである。

国際見本市を活用しない手はないのである!確かに来場者数=引合いを生むバイヤーが多く感じるが・・・実はそれも正確ではない。来場者数が多いからと売り上げが保証されるわけではない。自社の技術、製品を必要とする引合をうむ有力バイヤーと出会えなければ意味がないのだ


つまり、どの国際見本市をえらび、どの場所のブースを選び、どのようなPR方法で活用すれば、自社の技術、製品の引合をだせる有力バイヤーとであえるのか!?を把握しなければならない。


すれば、たった1小間であっても、最終日に社長、会長まで万歳三唱で3年分の売り上げを喜び合えるかもしれないのだ。


かくいうわたしは…東京ビックサイトを全館借り切って開催する国際見本市を8つ立ち上げた。見本市開催企業に在籍し、世界中から有力バイヤーを誘致するための統合型マーケティング・コミュニケーション戦略(バイヤー誘致プロモーションとも言うが、実際には有力出展社自体も誘致する統合型広報戦略ともいう)を立案してきた専門家である。


非常に過酷で複雑な仕事である・・毎日11時前に家に帰れたことがなかった。

しかし、やりがいがあった。


広告やCM戦略はその効果が売り上げに直接あらわれたか、不明である。つまり、広く広告されたからといって本当に引合いを生むバイヤーに伝わったかなど効果はわからない。製品が良かったのかもしれない、営業マンが優秀だったのかもしれない、アフターサービスが良かったのかもしれない・・・。大量に広告したからとは言えない。


しかし国際見本市は違う・・・業界のもつ、業態のもつ、いいや市場のもつ現場が肌で感じられる。開催日にブースを歩くと聞こえてくるバイヤーとの会話・・・売れる経営環境がじっくりとみえてくる。


何があれば自社の製品が売れるのだろう? 逆に何か無駄なことをしているのではないか?

直接バイヤーの声が聞けることが非常に重要なのだ。それも、自社の技術、製品を求めている業界の有力バイヤーにであうことが、企業として必要な売れる経営環境づくりに役立つのだ。


国際見本市というものが、どういう場であり、どう経済を動かしているのかを知れば、逆に同業種のライバルひしめく業界内の見本市に出展することがかえってマイナスになる!?と判明することが多い。


円安がとまらないといわれる今、技術や製品に自信ある中小企業は海外に進出すべきだと言われている。だからといってやみくもに進出してもリスクが多すぎる。国際見本市の選び方はとても重要だ。


まずは、国際見本市の実態、全貌を知って、どう活用してゆけばいいのか知ってゆくことにしよう。そして、静岡からクールな日本製として世界のバイヤーから引く手あまたになれるよう挑戦してみよう。


次回は、「次のヒット市場を成長し拡大する役目をになっている国際見本市」の実態をお話しよう。この連載が機になって、わたしはしずテクメンバーからこう聞きたい。「ありがとうございます。これで当社の社員がむこう3年間生きてゆけるだけの引合が商談が成立しました!」と。


(有)CP−MARMA 
ブランディング戦略チーム 
コンセプター 
菓奈毎美(カナ マイミ)
現在、脚光をあびる統合型マーケティング・コミュニケーション戦略の専門家として約30年。数少ない専門家のため国内外のメーカー、テーマパーク、公共事業、国際見本市など幅広く、市場創造・新規開拓など450以上の事例もつ。19年前から東西暮し交差点・静岡県西部を日本の縮図130万人生活圏としてマーケティングモデリング調査を行う。その調査経過を「月刊流通ネットワーキング」(日本工業出版)で3年半にわたり連載し常に読者投票1位となる。特に「誰がヒットの火をつけ、どうやってヒットが拡大してゆくか」を予測した具体策、売れる経営環境づくりには定評がある。